3現目が始まったばかりの屋上はもちろんだけど人の気配なんかなくて。
天候は晴天。風はなくて、気温はたぶん20度くらいかな?
んーと背伸びをして一番日当りの良さそうな場所探して裏に回るとそこには仁王が寝ていた。
「(何度見ても綺麗な顔。)」
ほんとは頬を抓ってやろうかと思ったんだけど、やっぱり起こすのはどうかと思ってやめた。
仁王は結構些細なことでも起きてしまうみたいだったからなおさら、隣に座るわけにもいかない。
一度は顔を眺めるために隣に腰を下ろしたものの、
やっぱり別の場所に行こうと立ち上がろうと仁王に背を向けると急に仁王が声を出した。
「どこ行くん?」
「あれ?起きてたの?いや、昼寝の邪魔かなぁーって。」
「別にええよ。おりんしゃい。」
眠そうに片目しか開けていない仁王は優しく笑っていた。
こういう甘い顔をするから仁王のまわりにいる女は勘違いするんだ。と思いつつあたしもきっとその一人なのだろう。
ふざけた話だ。(でも悪くない。って思ってるあたしが一番ふざけてる。はぁー)
「てゆーか仁王が屋上で寝てるの珍しくない?」
いつもは保健室の先生(女:26歳)のところで悠々と寝るくせにー。と起こしかけた腰をまた仁王の隣に置いた。
「んー今日暖かいけん。こっちの方が気持ちええかなぁ思て。」
「(こいつは猫か?)」
「は?」
「あぁ!それが聞いてよ!ブン太がね!!」
「で、それか。」
とあたしの持っているカレーパンを指した。
あたしはブン太のせいでお昼を食べ損ねて(廊下で暴れて職員室で怒られてました。はぁー)、
やっと購買に行けたと思ったら売残ったカレーパンしかなかった。(はぁー)
「そう、昼ごはんも食べてないのに知らん言語の授業なんか受けられるかっつーの。(3現目は英語です。)」
「あー、英語苦手やもんね。」
「仁王はわりとできるよね。」
「そうやね。」
「(この男は…)」
「てゆーか、、加齢臭がするぜよー。」
「人聞きの悪い発音しないでください!カレー臭です!not加齢臭!!」
「どっちも同じようなもんじゃろ。」
「え!全然違うよ。仁王くん嗅覚大丈夫ですかー?全然違うよ?」
「………」
「え?なんでそこで黙んの?」
急に黙ったかと思ったら、仁王の顔がそのまま近づいてきた。
「っちょ!」
「何じゃ?」
「何って…。あたしさっきカレーパン食べたばっかなんだけど。」
「ふーん。」
あたしがそう言っても、おかまいなしとばかりに縮まる距離は止まらない。
「だ、からー!」
仁王の動きが一瞬止まってじとっと睨まれた。
「………もう、黙りんしゃい。」
仁王にそう言われればきっとどんなどんな子だって抗うことなんてできない。
あたしはそのあとほとんど無抵抗で目をつむった。
「先輩ー、先輩って加齢臭するってマジっスかー?(くんくん)」
「そんなわけないでしょー!!!」